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収穫時にはこの時間の経過を見込んで早めに摘み取っていた。 収穫後の野菜は39酸素を吸って二酸化炭素を排出する中で栄養価が減少、水分の一部が蒸散し、本来の野菜の持つおいしさが失われてしまっていた。
例えばスーパーなどの店頭にあるホウレンソウの丈の長さは約215センチになっているが、これは陳列棚の大きさに合わせて収穫しているだけで、おいしさとは無関係だった。 実際にホウレンソウを加熱調理した場合、一番おいしい丈の長さは35センチだということが研究でわかってきた。
丈が短いと硝酸が多く苦みを感じるそうである。 温度管理がしっかりしていないと、ビタミンCの含有量も急激に落ちてしまう。
ホウレンソウを摂氏一度で管理すれば、ビタミンCの含有量は収穫後2日目でもほとんど減らないが、夏場のように30度にもなると、8割も減ってしまう。 Iは野菜の鮮度管理に関する勉強のため、千葉県の農業試験場に通い文献を調べ上げた。
その中で1980年ころの文献に、「低温管理した野菜流通だと品質が保持できる」という事例に巡り合い、一貫した野菜の冷蔵物流と加工体制を実行に移そうと思いついた。 日本デリカフーズ協同組合(NDF)のメンバーたちで作る資材調達会議では、冷蔵物流の問題点の洗い出しや産地の選定などを検討した。

目標としたのは、産地から店頭までの低温管理が一気通貫でできる体制を築くこと。 温度管理がうまくできた野菜は細胞壁がしっかりしていて歯応えもよく、甘さも従来の収穫方法のものとは違っていた。
農家にネットワークのある農林中央金庫などとも連携し、協力農家を探して野菜供給の契約にこぎ着けた。 2005年4月、コールドチェーン物流という野菜流通では日本初の取り組みが始まった。
まず、契約農家はS専用の野菜を作る。 収穫した野菜は出来るだけ速やかに適正な温度まで一気に冷やす予冷作業に入る。
冷えた野菜を冷蔵車などの低温管理の可能な車で運び、保冷施設のある全国9ヵ所のプロセスセンター(中継所)に集め、そこから冷蔵車によって加工工場に届ける。 加工工場の施設は5度程度の温度を保ちサラダ、サンドイッチ、野菜スティックなどに加工する。
店舗に向かう配送車も当然、冷蔵車を使用し、「S」の店舗に届く。 店頭の陳列棚も5度を保つ冷蔵ケースで販売する。
これで、しゃきっと新鮮で栄養価も落ちない商品を提供することが可能になった。 野菜のコールドチェーンだけでなく、加工食品でも、温度管理の徹底した冷蔵物流などを活用して工場から店頭に送り込む商品が相次いだ。

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